患者さんとの「かけ橋」です。漢方相談

漢方太陽堂の患者さんに、毎月お配りしています。
漢方治療を少しでも御理解して頂きたく、漢方太陽堂での実際の例を毎月御紹介致します。患者さんにとって、少しでも御参考・励みになれば幸いです。
(注;東洋医学で言う臓腑経絡は、西洋医学の内臓とは異なります。)

【蕁麻疹(じんましん)】と漢方改善例

全身に蕁麻疹(じんましん)の女性

(昭和16年生、女性。No.2289)

患者さんは59歳の女性。「3~4年前より蕁麻疹(じんましん)が出だし、全身に発赤と強い痒みが出る」そうです。「最近はラーメン・焼き飯でも蕁麻疹(じんましん)が出るようになった」と言われます。
顏は赤みがあり、舌診は湿で、便は軟便。他に異常は無いようです。
糸練功で調べると、右上焦1合Ⅴに蕁麻疹の証、左上焦2合Ⅰに肝臓の代謝異常と思われる証が観られます。
患者さんが「何を食べたら蕁麻疹(じんましん)が出るか分からず、不安です」と言われるので糸練功で食べ物をCheck。豚肉・鶏肉・エビ・イワシ・カツオ・卵で強く反応。それらの物を食べないよう指導しました。蕁麻疹を改善する漢方薬と肝臓の解毒代謝を高める漢方薬を投与。
結果は10日後、右上焦2.5合Ⅲ、左上焦3合Ⅰに順調に動き出す。
3ヵ月後、右上焦5合+(2)に改善。蕁麻疹(じんましん)の出る回数は減ったが、相変わらず蕁麻疹(じんましん)は出ている。
7ヵ月後、右上焦9+(1)、左上焦8合+(1)、漢方薬分量を2/3に減量する。
9ヵ月後、右上焦9.5合±、左上焦9.5合±(1)。やっと蕁麻疹(じんましん)が殆ど出なくなる。それでも月に2~3回発赤が出るらしい。
この時期に「動悸がする(不整脈)」と言う事で、青皮製剤を1日1回服用される。
その後、5ヶ月ほど服用し蕁麻疹(じんましん)は完全に出なくなり治療終了となりました。

食物アレルギーを漢方で治した幼児

(平成20年生、女性。No.5695)

乳製品を摂る事で赤く発疹が出てしまい、痒みが出てしまう女の子のお母様から相談を受けた。
ご来局時は、皮膚に症状が出てしまう様な感じは見受けられなかった。糸練功にて調べたところ、肝臓の解毒能力の低下と思われる証を確認した。
食事に気を付けているが症状が出てしまう事から、乳製品以外のアレルギー源が無いかチェックした。ヒスタミン様食物群、チラミン様食物群が全般にアレルギー症状が出てしまう反応を糸練功で確認し、2種類の成分を含む食物類も同時に控えて頂いた。
初めてご来局された時は2歳に満たない小さな女の子で、頑張って煎じ薬を飲んでいると言われていた。
3ヶ月した頃にはアレルギーの症状は出なくなっていた。お母様が食事の事をとても気を付けられた事もあり、症状として酷くなる前に抑えられた事と、症状が出る食物を糸練功にて調べた事で、治療は順調に進んだ。
漢方治療を2年続け、症状が出ていた乳製品を摂っても症状が出る事が無くなっていた。
アレルギーの改善間近に、汗により左肘に汗疹の様な症状が酷く出てしまっており、最終的には左肘の症状を改善し漢方治療が終了となった。
お子様の場合、訴える事もままならない状態で、お母様の食事に対して真剣に取組まれた結果が改善を早めた例だと実感した。

夕方に出る蕁麻疹

(1992年生、男性。No.7279)

夕方になると蕁麻疹が出る男性からご相談を受けた。日によって出方は異なるが、毎日の蕁麻疹に悩まされているご様子。ハウスダストアレルギーもあった。
漢方太陽堂へ来られる以前、蕁麻疹の漢方薬として「消風散」、「加味逍遙散」を医療機関で服用されていた。
舌診をすると、【燥湿中間】【歯切痕(少)】【白苔】【苔厚中間】の状態である。「水毒」は少ない。「水毒」に用いる「消風散」、「逍遙散関連」では改善がみられないと思われた。「血毒」に用いる少陽病位の漢方薬を糸練功にて絞り込み選薬した。
服用開始1ヶ月後、毎日出ていた蕁麻疹が1週間のうち4回に減って来た。また出る量も減り、以前のように大きな蕁麻疹は出ずに、蚊に刺されたような小さいのが出る位になられた。
更に2ヶ月後、地図上の蕁麻疹は消失し、出たとしても小さな蕁麻疹がポツっと出る程度になってきた。この頃には初診時よりも漢方薬量が3割減っていた。
蕁麻疹の出る頻度は月に1~2回程度と随分減り、蕁麻疹が全く出ない日が続く様になり漢方治療終了となった。
生理学的に、夕方は体内ステロイドが低下するので痒みが出やすい時間帯になる。漢方薬の服用時間を工夫すると、より症状を抑える事が出来る。また蕁麻疹は、「三陰三陽」で見分けるのがポイントとなる。舌診と病因の「気血水」の情報は非常に大切である。

最後に

東洋医学の治療は、西洋医学と異なり体質改善や原因療法の傾向が強いです。それだけに、効果の出る時間に個人差があります。「かけ橋」・「多くの漢方改善例」が、患者さん同士の希望に繋がることを願っています。