患者さんとの「かけ橋」です。漢方相談

漢方太陽堂の患者さんに、毎月お配りしています。
漢方治療を少しでも御理解して頂きたく、漢方太陽堂での実際の例を毎月御紹介致します。患者さんにとって、少しでも御参考・励みになれば幸いです。
(注;東洋医学で言う臓腑経絡は、西洋医学の内臓とは異なります。)

【卵管狭窄・卵管閉塞】と漢方改善例

卵管狭窄・卵管閉塞による不妊症の女性

(昭和43年生、女性。No.122)

不妊症治療の相談を受けた。病院の検査では右卵管狭窄・左卵管閉塞の診断を受けている。

問診では最高血圧115、最低血圧85。足が冷え、生理周期30日、生理期間4日間とやや短め。基礎体温を見ると低温期・高温期を含め全体的に低め、低温期から高温期へは緩やかなカーブで体温が上昇しており卵管以外にも問題があると思われる。

糸練功で調べると脾の臓陰証0.5合Ⅲに脾虚の証を確認。脾虚改善の漢方薬と利水作用のあるカプセル剤を選択投与する。このカプセル剤は脾虚改善の働きを助けるのみではなく、ホルモンの原料にもなりホルモン関係が潤滑に動く可能性がある。

1ヵ月後、4合Ⅰに改善。

その後、毎月改善し3ヵ月後に6.5合+(4)。

4ヵ月後、8合+(1)に改善。「妊娠した可能性がある」との連絡がある。それから4日後、「妊娠しました」との連絡。糸練功で妊娠状態を確認すると、流産の証である肝の臓陰証を4合に確認、血虚改善の粉薬を投与。

妊娠7週目、糸練功で調べると流産の症が3.5合に悪化。「無理をすると出血をする可能性が出てきます。出来るだけ無理をしないように」との旨の連絡をすると同時に血虚改善の粉薬を1.5倍に増量し投与する。その後妊娠5ヶ月まで服用し無事に漢方治療を終了する。

最近気付いた事であるが、卵管障害のある人には卵巣から卵管に掛けて「瘀血」の症が併発している事が多い。

体外受精で妊娠しない卵管閉塞の女性

(昭和42年生、女性。旧No.1800)

結婚4年半になる不妊症の患者さんの相談を受けた。病院での検査では右卵管の癒着が指摘され、自然妊娠は難しいとの判断で体外受精を5回したが妊娠には至らなかったそうである。

その後、地元の漢方薬局で人参剤を中心とした漢方治療を受けたが妊娠には至らず、漢方太陽堂での漢方治療を希望し来局された。

問診を行うと口渇を訴えられるが、その割には舌診には大きな異常は認められない。また月経はおおむね順調だが、月経直前に腰痛と下半身の冷えが有ると訴えられる。これらの症状から陽の瘀血の存在が推測される。

糸練功で確認すると、五志の憂が7合1+。瘀血が1.5合5+。心包の熱を内在する肝の血虚が8合+(1)に確認された。

五志の憂に自律神経を安定する製剤を、瘀血に駆瘀血剤を選薬投薬した。

1ヵ月後、それぞれ9合±(1)、2.5合3+に改善。

3ヵ月後、五志の憂9合±(1)、瘀血8合1+に改善。残された治療点の心包の熱と肝の血虚に対し粉薬を追加投薬。

6ヵ月後、自然妊娠。

その年11月初旬に元気な赤ちゃんを出産された。

実はこの患者さんの御主人も奥様と同時に、精子の運動率と精子量を増やす漢方治療を行った。

いつもの事だが、漢方医学には説明のつかない不思議さがあり、それを感じさせる例であった。

卵管狭窄-卵管の通りが悪い不妊症

(1967生、女性。No.4701)

40代の女性から、不妊症の相談を受けた。

結婚して1年になる。妊娠を希望しているが、病院で卵管の通りが悪い(卵管狭窄)と指摘を受けた。妊娠出来なくも無いと言われるが、妊娠経験は無し。

糸練功で確認してみると、妊娠への体質作りに血虚+瘀血証を確認し、右卵管に瘀血証の反応があった。

その後、6ヵ月を過ぎた頃、病院の検査結果で卵管は両方通っており、癒着も有りませんと言われた。肉体的症状では体感出来ていなかったが、検査をすると改善の変化が有った事に、とても喜んでいました。

ご主人は、海外出張が多く自然妊娠も試みているが、体外受精も同時に試みられた。

漢方治療から1年3ヵ月後、体外受精後の検査へ病院に行った所、胎嚢が確認出来きた。おりものに血の様な物が混ざっていたので、安静に過ごしてもらった。妊娠後に少し赤ちゃんが小さい事もあり、子宮の血流改善に代謝を活発にして体温を上げる漢方薬をお出しし、4ヵ月の時には6ヵ月位の大きさと言われた。

その後は流産防止の漢方薬を投与し様子を見て頂いた。またグレープフルーツなどの柑橘系がとても欲しくなり良く食べたり飲んだりしていたので、柑橘系は発散効果がある為控える様に伝え、食事のアドバイスも同時に行い、赤ちゃんは順調に成長していた。

妊娠5ヶ月を過ぎ安定期に入るまで安胎薬は続けて頂いた。

その後、かわいい女の子の写真を送って頂き、無事出産しました。

卵管狭窄-卵管閉塞が1ヶ月で改善し3ヶ月で妊娠した女性

(昭和59年生、女性。No.6305)

卵管造影で両側卵管閉塞と診断された20代女性の方から相談を受ける。

通水治療後、再度卵管造影をした所、両側卵管は閉塞したままだった。

糸練功で確認した所、左卵管で0.7合脾の陰証に六君子湯証を確認した。不妊治療も希望だった為、不妊の治療に結びつく血海にて確認した所2.4合肝の陽証に当帰芍薬散証を、乳腺の反応で0.5合大腸の陽証に甲字湯合芍薬甘草湯加青皮の証を確認した。卵管閉塞に対し六君子湯も含め3種類で治療を開始した。

治療開始から1ヶ月後、卵管検査をした結果、所卵管閉塞が改善していたとの事だった。左卵管の合数も3.3合まで改善していた。再発を防止する為、卵管閉塞の脾虚改善のみ分量を半分にして、他は変わりなく3種類にて治療。血海の反応も4合を越していたので漢方薬の効果は著効で順調と思われる。

治療開始から3ヶ月後、生理が来なかった為妊娠検査薬にて調べた所、陽性反応が出たとの事だった。陽性反応が出た為、妊娠に合わせて安胎薬へ切り替えた。後日、病院にて調べた所、めでたく妊娠反応を確認したとの連絡を受けた。

安胎薬にて当帰芍薬散加芍薬を確認した為、流産防止を含め服用継続をお勧めしたが悪阻が酷く、本人の希望により治療終了。

治療開始から3ヶ月で妊娠という著効例の例だった。

最後に

東洋医学の治療は、西洋医学と異なり体質改善や原因療法の傾向が強いです。それだけに、効果の出る時間に個人差があります。「かけ橋」・「多くの漢方改善例」が、患者さん同士の希望に繋がることを願っています。