患者さんとの「かけ橋」です。漢方相談

漢方太陽堂の患者さんに、毎月お配りしています。
漢方治療を少しでも御理解して頂きたく、漢方太陽堂での実際の例を毎月御紹介致します。患者さんにとって、少しでも御参考・励みになれば幸いです。
(注;東洋医学で言う臓腑経絡は、西洋医学の内臓とは異なります。)

【後縦靭帯骨化症】と漢方改善例

後縦靭帯骨化症(全身麻痺のOPLL)

(昭和22年生、男性。No.2147)

2005年8月に自宅の庭にて転倒し入院。9月に後縦靭帯骨化症(OPLL)の疑いがあると診断され、漢方相談を受けた。両手、両腕、脚裏の土踏まず部分の痺れが有り、全身も麻痺して動けないとの事だった。

処方してから3週間を過ぎた頃から、本人の自覚症状が改善され、足に力が入るのが分かる様になってきた。他の骨化症の方に比べとても早い速度で改善していった。

翌年の5月には趣味のゴルフへ行くと言われ、自力で18ホールを回れ、疲れも無く過ごした。何より久しぶりにゴルフが出来た事をとても喜んでいらっしゃった。

途中、「漢方薬は副作用がある」と耳にし、相談を受けた事もあったが、「証に合っていない漢方薬を飲まれる事にて起こる」事を伝え納得され、その後も続けて漢方薬を服用頂いた。

食養生はミネラルを多く摂っていただき、余り疲れを溜めない様にお話し養生を続けて頂いた。体調が良くなるにつれて、ゴルフへ月に3回ほど行くなど、とても活動的に動かれていらっしゃった。

途中、今までにない足先の痺れも出てきたが、その証も一緒に治療され良くなっていった。

そして、2007年3月に友人からの紹介で有名な整形外科にて検査をした所、漢方治療前は手術を勧められていた症状が、今の段階だと手術は必要ないとの診断を受けた。

この診断結果を期に漢方治療を終了し、「養生は続けて行きます」との事だった。

後縦靭帯骨化症のご婦人

(昭和23年生、女性。No.801)

2004年7月、50代の婦人から相談を受けた。

同年3月に突然、右腕と右背中に激痛が走ったとのこと。しばらく整体に通った後、クリニックを受診、MRI検査にて後縦靭帯骨化症と診断された。上半身に痺れがあり、夜は熟睡出来ないと訴えられていた。

後縦靭帯骨化症は難病指定の疾患である。漢方太陽堂では、後縦靭帯骨化症の数多くの相談を受け、独自の漢方治療法を確立してきた。

糸練功の反応にて、東洋医学的な治療点は4箇所~6箇所出現する。より少ない種類の漢方薬で全ての治療点が改善するように漢方薬を組んで行く。

漢方薬を飲み始めて2日後から、よく眠れるようになり、身体の違和感がとれてきた。あまりにも早い効果に驚かれた。更に3ヶ月後、痺れも殆ど無くなり、病気を忘れる日も出て来た。首の動きも1ヶ月毎に良くなられた。年が明けた3月にCT検査をしたところ、骨化部分の進行はみられず、医師からも心配は要らないと言われた。

漢方薬開始から1年後、首や身体に出ていた症状がほとんど無くなっていた。症状が消えたので、漢方薬服用から2年後、自己判断で漢方薬を中止していた。

2年が過ぎ、肩甲骨や腕の痛みなどが現れた。漢方薬を再開し、すぐにまた調子が良くなられた。漢方薬は体質改善力をつける力を強め、再発防止に取り組んだ。後縦靭帯骨化症の診断を受けた4年後も、骨化部分は小さいままで全く進行していなかった。

手術を勧められた後縦靭帯骨化症の女性

(昭和31年生、女性。No.4251)

後縦靭帯骨化症と診断されたご婦人より相談を受けた。

病院から手術を勧められたが、漢方薬で骨化症の進行を食い止めたいと御来局された。

仕事柄、30kgの米を持つことが頻繁にある。11月下旬から12月にかけて1トン近く上げ下ろしを続けていたら、肩が痛くなり、手に力が入らなくなってきた。徐々に鉛筆や箸を上手に握れなくなった。

糸練功にて骨化症の反応点と肩の状態をチェックした所、五十肩と肩関節症と思われる反応があった。

肩のほうは、頚椎椎間板ヘルニアの漢方薬で一緒に改善すると思われる。

骨化症と併せて漢方薬をお出しした所、1ヶ月後にはとても調子が良く、アキレス腱付近がジンジンしていたのも改善してきたと喜ばれていた。

骨化症に対して漢方太陽堂独自の治療法を確立しているが、食養で海産物を摂る事を前提として治療を進める。海産物を多く摂るよう指導した。

3ヵ月後、普通に歩けるようになり、重い物を持たなければ日常生活に支障がない状態にまで改善してきた。

更に2ヵ月後、病院でMRI検査を受けたが異常はなかった。

漢方薬を服用してから1年経った時には、ヨガで首を上に上げても痛みや違和感がなく、握力も戻ってきているのをご自身で実感されていた。

後縦靱帯骨化症が消えたという男性

(昭和43年生、男性。No.1140)

30代の男性より頚椎の後縦靱帯骨化症の相談を受けた。

首筋が痛くなり、病院にて受診した所、後縦靱帯骨化症と診断された。その後、病院を4~5回変えるものの診断は変わらず、薬を服用するが痛みなどは改善されないと言う。

症状としては、特に上を向いたり右側を向いたりすると首に強く痛みが走り、右肩・右手親指の付け根の痛みも辛いと言う。

糸練功により、骨化症の方によく見られる証が5箇所確認でき、6種類の漢方薬を服用する事になった。

飲み始めて1~2ヶ月した頃から、日によって症状に違いはあるものの、右腕の症状は改善してきたと言う。ただ、首については、痛みはまだ強くあるとの事。

飲み始めて7ヵ月後、首の痛みも感じなくなってきており、糸練功の合数もかなり上がってきたので漢方薬を4種類に減らした。また、病院で骨化の部分が小さくなってきたと診断を受けたと言う。

症状の改善と共に漢方薬を徐々に減らして行き、骨化症の原因ではないかと考えられる生体内環境の証を確認したため、現在はその煎じ薬のみを服用して頂いている。

その後、別の理由で病院を受診した所、驚くべき事に骨化が消えていると言われたと言う。これには本人もとても驚いていた。

手の痛みと痺れを訴える後縦靭帯骨化症

(60歳代、女性。No.1996)

手の痛みや痺れが持続し徐々に酷くなるので、病院にてCTとMRIを撮った所、後縦靭帯骨化症と診断され、その1年後に漢方太陽堂へ相談に来られた。

症状は、常時左右10本の手指の強張りと痺れが強く、動かすと痛いらしく、特に起床時が酷いと言う。

問診と糸練功で確認した所、骨化症の方に特有の証が7箇所確認でき、手指の強張りは加味八仙湯証で、骨化症本体は竜仙合越婢加朮湯証だった。

漢方薬を飲み始めて1ヶ月目で、指の痺れは少し軽減し、紐も結べるようになったとの事。ただ、強張りと痛みは依然あるようだ。

その後、鎮痛剤を飲む回数は減ってきたが、漢方薬を飲み忘れてしまう事もあるようで、症状は一進一退を繰り返していた。

相談を受けてから2年後、糸練功の合数も9合付近まで改善してきた頃、元の体質としての部分や現在出ている症状の大元となる証(生体内環境)を確認した為、その煎じ薬を中心とする薬方に切り替えた。

それから3ヵ月後、患者さん自身もこの煎じ薬を飲んでから症状の改善を実感し、病院の定期健診でも骨化症は進行しておらず良い状態と言われた。糸練功の合数が10合近くまで改善して来ている今も煎じ薬を飲んでおり、体質改善や再発防止に向けて取り組んでいる。

最後に

東洋医学の治療は、西洋医学と異なり体質改善や原因療法の傾向が強いです。それだけに、効果の出る時間に個人差があります。「かけ橋」・「多くの漢方改善例」が、患者さん同士の希望に繋がることを願っています。