患者さんとの「かけ橋」です。漢方相談

漢方太陽堂の患者さんに、毎月お配りしています。
漢方治療を少しでも御理解して頂きたく、漢方太陽堂での実際の例を毎月御紹介致します。患者さんにとって、少しでも御参考・励みになれば幸いです。
(注;東洋医学で言う臓腑経絡は、西洋医学の内臓とは異なります。)

【癲癇(てんかん)】と漢方改善例

癲癇(てんかん)-脳波の異常

(34歳、男性。No.74)

病院での検査で脳波の異常が見つかった男性から相談を受けた。
自覚症状は無いが、放っておくと突然痙攣などの発作に見舞われる危険性が出てくる。脳波の異常に対して体質改善を試みた。
糸練功で確認すると、0.5合4+(大腸の瀉)、2合4+(胆の瀉(本治))、1合3+(心包の瀉)が出現していた。いずれも癲癇体質に対して用いる漢方薬方が適方となった。

  • 大腸の瀉・・・・・急激な脳波の動きを抑える
  • 胆の瀉(本治)・・脳電圧を下げて脳波を正常化させると思われる
  • 心包の瀉・・・・・胆の瀉(本治)の働きを助ける

2回目のご相談時、2合1+(大腸の瀉)、6合1+(胆の瀉(本治))、3.5合3+(心包の瀉)まで改善されてきた。ストレスが掛からなければ、かなり早いスピードで改善していくと思われた。
3回目、8合+(1)(大腸の瀉)、7合+(3)(胆の瀉(本治))、9.5合±(1)(心包の瀉)ととても順調に改善。体調も良好なご様子。
漢方治療を始めて半年後には全て10合±の状態になった。
10合±の状態が8ヶ月間続いた所で、大腸の瀉の漢方薬を終了しても大丈夫と思われた。
それから約1年後、病院の検査では問題なく、安定しているとの事。検査上は境界の範囲内で安定している。

癲癇(てんかん)-突然の大発作を起こした女の子

(平成2年生、女性。No.0706)

癲癇を持っている女の子の親御さんから相談を受けた。最初は手の振るえから始まり、その後、突然の大発作で意識を失い倒れ病院に運ばれたと言う。
病院の検査では、脳波に異常が認められ抗てんかん薬を飲むように勧められたが、そのご家族のご希望により漢方薬で治療をしていく事になった。
問診と糸練功で確認した所、癲癇の方に特有の証が5つ確認出来た。
漢方薬を飲み始めてからは、今まで頻繁にあった手の震えは減少したが、汗を掻いて脱水状態になった時や、寝不足やストレスで体に負担が掛かっている時などは震える事があった。
また、毎日学校もあると言う事で、一日に漢方薬を飲む回数も多いせいか飲み忘れる事もあったが、ご家族の協力もあり飲み忘れる事も少なくなっていった。
その時々の状態に合わせ漢方薬を増減して対応していたが、元の体質としての部分や現在出ている症状の大元となる証(生体内環境)を確認し、その煎じ薬を中心とする薬方に切り替えた。その為、漢方薬の種類も減らす事が出来た。
半年以上大きな発作は無く以前に比べ脳波の乱れも少なくなってきてはいるが、体質改善までは慎重に取り組むべきだと考えている。

癲癇(てんかん)大発作と小発作に悩む男性

(18歳、女性。No.1814)

14歳の時に最初の発作が出た。大発作は年5~6回、小発作は毎日出るとの事。
現代医学では理解出来ないが、癲癇は漢方太陽堂で確立した4つの証(東洋医学的な体質・症状)を治療する事により改善した例を多く経験している。
この患者さんを糸練功で確認した所
初回来局時、本治部・胆の腑・陽証-0.2合4+。小発作部・心の臓・陰証-0.5合1+。他3箇所に治療ポイントがあると思われた。
13ヶ月後、小発作は無い。MRI・脳波の検査共に異常無し。調子は良いが、夜更かしが過ぎると頭痛が起こる。
25ヵ月後、本治部・胆の腑・陽証9.9合±1。小発作・心の臓・陰証9.95合±1。他の治療ポイントも改善し大小の発作も無く体調は良い。
現在、癲癇治療は発作を抑制する抗癲癇薬以外の方法は一般的に行われていない。治療方法として規則正しい生活を心掛ける等のアドバイスをする程度で根本治療には至っていないようである。患者さんは、殆どが抗癲癇薬で発作を抑制しているのが現状である。
脳波に異常がある間は、新薬と漢方薬の両方で治療し、脳波が正常になっても漢方薬を続ける事によって抗癲癇薬の離脱が可能である。その後、予防と再発防止の為、漢方薬を更に服用し、次第に漢方薬も止めていく事が可能と考える。

癲癇(てんかん)-頭部傷害後の痙攣発作

(昭和10年生、男性。No.1342)

C型肝炎で漢方治療中の女性のご主人から相談を受けた。
昭和37年に屋根から落ち前頭部の傷害を受けたとの事。それから20年以上が過ぎた6年前より痙攣発作が出始めたそうである。発作の時は意識不明となり病院で抗癲癇薬を服薬中との事。
問診では参考になるような証は感じられなかった。糸練功で調べると、癲癇と同じ反応穴に大腸の腑陽証3合3+に甘麦大棗湯証、胆の腑陽証7合2+に柴胡桂枝湯加味方証を確認する。
今まで経験した癲癇の患者さんに比べ合数が高いため、患者さんの金銭的負担を考慮し〇〇湯と××のみ選薬した。
1ヵ月後、大腸の腑4.5合、胆の腑8合と順調に改善を始める。
5ヵ月後、大腸の腑10合±、胆の腑8合+(1)。発作は全く出なくなったと喜ばれる。
9ヵ月後、大腸の腑も胆の腑も10合±となる。依然として発作は出ていない。
それから2週間後、発作が出たそうである。聞くと発作も出ないし糸練功の結果も10合なので病院からの抗癲癇薬を中止していたそうである。
その発作直後に糸練功を取ると、大腸の腑10合、胆の腑は3合に低下している。〇〇湯を中止し、××と△△に変更する。同時に腎の臓陰証に□□を与えた。
その後、1年7ヶ月、漢方治療を続け、治療終了となった。

てんかん-癲癇大発作を繰り返す女性

(昭和47年生、女性。No.1292)

患者さんは24歳の地元で活躍するバレーボールの選手です。高校生の頃より癲癇の発作が起こり出したそうです。病院からの発作止めを服用していますが、発作を繰り返しています。
糸練功で後頭部癲癇の反応穴を調べると、大腸の腑陽証7合1+、腎の臓陰証2合2+を確認。
大腸腑に急激な脳波の動きを抑える漢方薬、腎の臓にミネラル豊富な錠剤を選択。
1ヵ月後、大腸の腑8合+(4)に改善。発作の回数が減少した為、患者さんが自己判断で発作止め2錠を1錠に減らしたそうである。
5ヵ月後、大腸の腑9合±、腎の臓8合+(1)に改善。今度も患者さんが自己判断で発作止めを1日1回半錠に減量。
1年3ヵ月後、大腸の腑7合+(1)、腎の臓9合±(1)に一時悪化。話を聞くと3ヶ月ほど前から発作止めを飲んでいないとの事。
1年8ヵ月後、大腸の腑10合±、腎の臓10合±に改善。最近は全く発作が出なくなったと喜ばれる。
2年6ヵ月後、発作も1年以上出ないため治療終了となった。
その後、この患者さんのお母様と妹さんが、漢方太陽堂にてそれぞれに膵炎と関節リウマチを治療された。お話を伺うと、その後は癲癇の発作は出ていないとの事である。
患者さんは抗癲癇剤に嫌悪感があり、自己判断で病院薬を止められたが、本来は専門家の指導に従い減量して欲しかった例である。

最後に

東洋医学の治療は、西洋医学と異なり体質改善や原因療法の傾向が強いです。それだけに、効果の出る時間に個人差があります。「かけ橋」・「多くの漢方改善例」が、患者さん同士の希望に繋がることを願っています。