患者さんとの「かけ橋」です。漢方相談

漢方太陽堂の患者さんに、毎月お配りしています。
漢方治療を少しでも御理解して頂きたく、漢方太陽堂での実際の例を毎月御紹介致します。患者さんにとって、少しでも御参考・励みになれば幸いです。
(注;東洋医学で言う臓腑経絡は、西洋医学の内臓とは異なります。)

【アトピー性皮膚炎】と漢方改善例

アトピー性皮膚炎で夏に酷くなる

(昭和44年生、女性。No.1314)

数年前より、夏場を中心に腕に痒みを伴う湿疹が出るという女性の相談を受けた。特に、この一年は手首からの湿疹が酷くなり、腕全体が腫れあがるほどかぶれるとの事。病院で保湿剤とステロイド軟膏による治療をし、症状はかなり改善されたものの、完全にとれたわけではなく手首などが痒い状態が続いている。
問診と糸練功により、胆の腑・陽証・表の湿熱証と大腸の腑・陽証・風湿の証を確認した。
漢方薬を飲み始めて調子が良い日々を過ごしていたが、猛暑が続いた夏には経絡病(一時的な病)として風湿の証の湿疹が出てくるようになった。この時、漢方薬を服用する事はもちろんの事、昔から「医が三分・養生七分」と言われており、生活する上での養生が症状の悪化や改善に大きな影響を与えることを伝えた。
養生の甲斐もあってか、今年の夏には症状も出ることなく調子良く過ごしているとの事。
現在ではアトピー性皮膚炎の症状に対してだけではなく、来年・再来年の夏も調子良く過ごせるように大元の体質(生体内環境)の改善や再発防止に向けての漢方薬を飲んでいる。

食養生も大事なアトピー性皮膚炎

(17歳、男性。No.1662)

2004年の9月に発症し、その後皮膚症状が全身に拡がったアトピー性皮膚炎の男性から相談を受けました。
元々、喘息やハウスダストのアレルギーなどのアレルギー性症状もあるとの事でアトピー性皮膚炎に成り得る体質はあった様です。
主となる症状は皮膚の痒みが酷く、特にお風呂上りにその症状が激しいとの事でした。
問診と糸練功でのチェックより二つの証を確認しました。
これらの証に対応する為、内服漢方薬と漢方外用である程度の改善が見えました。
その後、外用は試行錯誤の末、より良いものが完成しそれを小まめに塗布してもらいました。
一つの証は梅雨時期にとても悪化するものでしたが、本人に症状の事や漢方薬をきちんと続けないと改善のスピードが格段に異なる事をしっかりと理解してもらいました。
その結果、漢方薬の飲み忘れなども格段に減り、自他共に急速な改善がみられるようになりました。唯、ご家族(特にお母様)の大きな協力(普段の食事など)も大きな影響をもたらしていました。
今では症状が酷かった面影もなく、体質改善をキチンとし再発しないように漢方薬を服用しています。
症状や体質、漢方薬と普段の養生などをしっかりとご本人に理解をしてもらう必要性があると改めて実感した一例でした。
これからも患者さんと我々で一緒に取り組んで、より早く改善して行けるようになればと思います。

アトピー性皮膚炎の女の子

(昭和61年生、女性。No.1756)

当時11歳のアトピーの女の子の相談を受けた。身長155cm体重48Kg、大人の女性と変わらない体格であった。
現在まで病院からのステロイドの外用薬を中心とした治療をされているとの事であった。
舌には白苔もなく乾湿中間、強い内臓熱は窺えなかった。
糸練功で調べると、全身に広がるアトピーが胆の腑陽証3合3+に表の湿熱証として確認された。また、乳首と眼の周辺の爛れた部分は小腸経の陽証5合2+に上焦の熱証+水毒の証として確認された。
1ヵ月後、驚く事にアトピーが見た目に消失している。糸練功で調べると、胆の腑と小腸経が共に7合+(3)に急上昇している。しかし同時に、今月半より入梅のせいか、アトピー部分に風毒が3合に出現。今までの経験では、アトピー部分の風毒は真菌の感染症が多い。
3ヵ月後、ステロイドの外用を中止すると胆の腑に表の湿熱+化膿の証が出現。この証はステロイド皮膚炎に多く出現する事も経験している。風毒とステロイド皮膚炎と思われる状態に曲参製剤とカルシウム製剤を同時追加。
4ヵ月後、秋になり湿度が下がってきた事も好影響したか、風毒は10合に改善。同時にステロイド皮膚炎と思われる病態も9合に改善してきた。
その後、服薬を続け10ヶ月で漢方治療を終了した。

アトピー性皮膚炎-皮膚科ではステロイド軟膏

(昭和28年生、女性。No.5996)

最初に頚部から始まり、次第に目の周りや唇などにも湿疹が出るようになってしまった女性から相談を受けました。
皮膚科ではステロイド軟膏を処方されており、患部に塗ると一時的には治まるが、暫くするとまた湿疹、赤みが出てしまうとの事でした。
糸練功にてお調べした所、上焦~中焦の熱証を確認しました。また食べ物に対して、油物(マーガリン、マヨネーズ)やそば、ウリ科の植物など幾つかの食材にアレルギーの反応がありましたので、症状が改善するまでは控えてもらうようにしました。
最初の2ヶ月ぐらいまでは、あまり変化がみられませんでした。そこで改めて食養生を徹底してもらう事と、彼女が使っている化粧品やシャンプーも糸練功でお調べして、皮膚に対して悪影響がある商品は使わないように徹底してもらった所、翌月には大幅な改善がみられました。
その後は非常に順調な改善を見せて、漢方治療から半年後には食べられる食材も段々と増えてきました。
アレルギー症状が出ている時は、食べられない物も、体質改善が進むにつれて食べても影響が出難くなっていきます。
途中で上焦~中焦の熱証とは別に、顏の眉間部分などの脂漏性湿疹に対して、解毒湯体質の反応も確認した為に、2つの処方を併用していました。
改善と共に分量を減らし、2年後にはアレルギーに対する漢方薬は無事に卒業する事が出来ました。
その後は健康維持の為に○○の服用を続けています。

最後に

東洋医学の治療は、西洋医学と異なり体質改善や原因療法の傾向が強いです。それだけに、効果の出る時間に個人差があります。「かけ橋」・「多くの漢方改善例」が、患者さん同士の希望に繋がることを願っています。