患者さんとの「かけ橋」です。漢方相談
漢方太陽堂の患者さんに、毎月お配りしています。
漢方治療を少しでも御理解して頂きたく、漢方太陽堂での実際の例を毎月御紹介致します。患者さんにとって、少しでも御参考・励みになれば幸いです。
(注;東洋医学で言う臓腑経絡は、西洋医学の内臓とは異なります。)
【帯状疱疹後神経痛】と漢方改善例
帯状疱疹後神経痛のご婦人
(昭和13年生、女性。No.2346)
患者さんは2年半前に左顔面・目の周囲を帯状疱疹に侵されたそうである。
現在まで帯状疱疹後神経痛が左顔面に残り、病院でもらう鎮痛剤で誤魔化してきたと言われる。しかし鎮痛剤の副作用で胃腸の調子が悪く潰瘍が出来、漢方薬で治せないかと相談に来られた。
帯状疱疹後神経痛は現代医学では治療の難しい疾患である。漢方治療でも治ったり治らなかったりで治療としては不確実な分野であった。
私は3年ほど前に腰痛・関節痛・神経痛専用の薬方を開発した。
偶然であるがその薬方で帯状疱疹後神経痛の患者さんが何人も良くなる事に気付いた。
相談に来られた患者さんにも私の開発したC接骨木製剤を使用した。
患者さんは便秘がちで口喝があり、舌は黄苔でやや乾燥、舌下静脈の怒張が観られ、年齢に反し実証と思われた。血圧は変動し心配事があると上昇するらしい。五志の憂があると思われる。
治療開始前、帯状疱疹後神経痛は肺の臓陰証1合Ⅲで強い痛みがあった。五志の憂(自律神経失調症などの自律神経の不安定)は膀胱の腑2合Ⅲ。
1ヶ月後、神経痛は3合Ⅰ、自律神経は5合Ⅰ。痛みは依然として有り、変わらず。
2ヵ月後、神経痛は5.5合Ⅰ、自律神経は7.5合+(1)。痛みが無い日があるとの報告。
8ヵ月後、帯状疱疹後神経痛は8合±、自律神経は9合±に改善。痛みは全く消失。血圧も上がらなくなった。
帯状疱疹後神経痛で眠れない程の痛み
(昭和42年生、男性。No.7330)
右肩甲骨付近に痛みが現れ、帯状疱疹後神経痛と診断された男性から相談を受けた。
夜になると痛みが強く出て眠れないのが辛いとのこと。痛みが痒くなる時もあると訴えられた。
糸練功にて、右肩甲骨から右胸にかけてstを感じる。糸練功で反応のある場所を示すと、ちょうどその箇所に痛みがあると仰っていた。
帯状疱疹後の神経痛は強い痛みが残るケースが非常に多い。慢性化すると厄介になる。この方はまだ急性の状態であった。急性の状態は時間との勝負になる。
漢方薬は、ウイルスと痛みを改善する内服薬2種類と外用剤を使用した。
治療開始1週間は、ウイルスへの効果を最大限強め、その後2週間単位で煎じ薬分量を調節しながら治療を進めた。
選薬した煎じ薬は、抗ウイルス作用と痛みを改善する働きがある。
季節的に暑さバテしやすい時期であったが、この煎じ薬は体内の水分バランスを調節する働きもある。患者さんは炎天下に出る事が多く、暑さバテ予防も兼ねている事を実感され大変喜ばれていた。
とても順調に改善が進み、2週間毎に痛みが軽くなって行った。何よりも眠れなかった痛みが早く治まり安心されていた。
抗ウイルス作用のある漢方薬は幾つかあるが、帯状疱疹ウイルスを完全に消すのはなかなか難しい。(肝炎ウイルスのほうが消しやすい)痛みが消失した後、最終的に痛みが出ないレベルまでウイルスの状態を改善し治療終了となった。
最後に
東洋医学の治療は、西洋医学と異なり体質改善や原因療法の傾向が強いです。それだけに、効果の出る時間に個人差があります。「かけ橋」・「多くの漢方改善例」が、患者さん同士の希望に繋がることを願っています。