漢方学会・研究会での発表論文

漢方太陽堂が、東洋医学関係の学会・研究会にて発表報告した論文です。ご覧下さい。
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【糖尿病】

2011年11月伝統漢方研究会第8回全国大会講演(日本・兵庫県淡路夢舞台国際会議場)

金沖良子
福岡県福岡市・日本

【糖尿病とは】

糖尿病とは血液中の糖濃度が高い状態が長く続く病気です。何故、糖の濃度が高くなるのでしょうか?食事で摂取する糖質は唾液や膵液、腸液によってブドウ糖となり、腸から吸収されて血液中に入ります。そして肝臓で蓄えられます。

エネルギー源の一部がブドウ糖として血液の中に流れます。これらを血糖といいます。血糖は脳・筋肉・肝臓など色々な細胞に取り込まれ、エネルギー源となります。

血糖値の調節は膵臓の中にあるβ細胞から分泌されるインスリンというホルモンの作用によって行われています。インスリンの分泌の働きが悪くなってくると細胞にブドウ糖が取り込まれず、肝臓から過剰なブドウ糖が出て血糖値が高くなり、高い状態が慢性的に続くと血管に負担がかかり血管がもろくなってしまいます。

多くの血管が集中する眼・腎臓・脳・心臓に合併症を起こして失明、透析、脳梗塞、心筋梗塞に繋がってしまいます。

【糖尿病の病型】

糖尿病の病型には、Ⅰ型糖尿病・Ⅱ型糖尿病・妊娠糖尿病・抗インスリン抗体などの自己免疫疾患等があります。

Ⅰ型糖尿病は膵臓からインスリンが出なくなってしまいます。自己免疫の低下、ウイルス感染、原因不明等でインスリンの働きが無くなるのでインスリンの補充が必要になります。(インスリン依存型)子供に発症する事が多い病型ですが、中高年にもみられます。

糖尿病症状の殆どがⅡ型糖尿病にあてはまります。過食、肥満、運動不足、ストレス、加齢など色々な原因が絡み合ってインスリンの効きが悪くなります。その為、糖を処理出来ず、食後の血糖値が高くなります。この状態が続くと糖尿病になります。(インスリン非依存型)

Ⅰ型糖尿病、Ⅱ型糖尿病とも親兄弟に糖尿病に罹っている人が多く遺伝的な体質も関係あるとされています。また、Ⅱ型糖尿病は70%が環境と言われます。夫婦で糖尿病になる場合があるのですが、食生活が似ている為と言われています。

【糖尿病の漢方治療】

インシュリン依存型、インシュリン治療、余病に漢方適応
インシュリン非依存型、血糖降下剤、漢方適応

◎糖尿病の頻用薬方
大柴胡湯(加乾地黄)・小柴胡湯(加乾地黄)・五苓散・柴胡桂枝湯(加乾地黄)・竹葉石膏湯・炙甘草湯・麦門冬飲子・柴胡桂枝乾姜湯・防風通聖散・白虎加人参湯・八味丸(加人參)・八味丸合人参湯・四君子湯(加澤蘭)

◎補助剤
風参(MDR製)合牡蠣仙(MDR製)・・膵臓の炎症を抑える(初期~中期)
牡蠣肉エキス・・・・・低下した筋肉代赭を高める(中期以降)
反鼻末・・・・・・・・インシュリン分泌促す(中期以降)
葉緑素・・・・・・・・血液浄化・アルカリ性(糖尿全般)
カルシウム・・・・・・消炎作用(初期~中期)
填南仙(MDR製)・・・血流改善、合併症の予防
明目仙(MDR製)・・・糖尿病性網膜症の予防と治療
糸練功にて、糖尿病の家系(若年型・遺伝的)の人をみると、まだ糖尿病を発病していなくても膵臓にstの反応を感じます。風参(MDR製)合牡蠣仙(MDR製)でsmになります。発病を防げると思われます。

【考察】

糖尿病の症状が進んだ場合、現代医学と漢方治療を平行して進めるのが望ましいです。
一般的に、血糖値をコントロールする事は出来ても一生治ることはないとされていますが、漢方の治療のみで尿糖や血糖が正常に戻り、症状が改善されることも少なくないのではないでしょうか。

【参考文献】
(1)藤平健著:漢方処方類方鑑別便覧、藤平漢方研究所、1982