漢方学会・研究会での発表論文

漢方太陽堂が、東洋医学関係の学会・研究会にて発表報告した論文です。ご覧下さい。
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【特発性血小板減少症】

2004年11月伝統漢方研究会第1回全国大会(日本・兵庫県淡路夢舞台国際会議場)

大滝峰光、木下順一朗
福岡県福岡市・日本

[諸言]

特発性血小板減少症は現在厚生労働省が指定する難病の一つで、まだ治療法は確立されておりません。今回、その特発性血小板減少々症に対し漢方薬が有効であったので報告する。

[対象並びに方法]

西洋医学的な治療を行っても改善されなかった1例を対象とした。糸練功で調べそれをもとに漢方薬を選び治療した。

例:38才女性

主訴:血小板減少
既往歴:特記すべきことなし。
現病歴:血小板の量にあわせプレドニゾロン(ステロイド)を使用。
H15年5月13日;血小板数:1.2万個
プレドニゾロン:30mg投与
H15年6月24日;血小板数:20.2万個に増加
プレドニゾロン:20mgに減量
H15年8月19日;血小板数:11.2万個に減少
プレドニゾロン:10mgに減量
H15年9月30日;血小板数:4.3万個に減少
根本的に治したいということで来局相談となった。

現症:身長155㎝、体重45㎏、血圧120/80mmHg
漢方治療開始時:血小板数は4万3千個
プレドニゾロンは7.5mg
治療経過:
H15年10月10日
漢方治療開始;臓腑病、腎陰証-0.5合Ⅴ
加味帰脾湯エキス(松浦漢方:8g)加紫根末(0.8g)
スクアレン(500mg)
血小板数:4.3万個
プレドニゾロン:7.5mg
H15年11月18日;3合2+;薬方は同量
血小板数:9.5万個
プレドニゾロン:5mgに減
H15年12月17日;7合+2;薬方は同量
血小板数:9.3万個
プレドニゾロン:5mg
H16年2月17日、8.5合±1;薬方は同量
血小板数:10.3万個
プレドニゾロン:4mgに減
H16年4月20日;9合±1;薬方は同量
血小板数:10.9万個
プレドニゾロン:2mgに減
H16年6月25日;9.8合±;薬方は同量
血小板数:6万個
プレドニゾロン:1mgに減
H16年8月21日;血小板数:12.3万個
プレドニゾロン:1mg隔日に減

H16年9月16日;9.8合±;薬方は同量
血小板数:8.4万個
プレドニゾロン:同じ
H16年10月15日;9合±1
加味帰脾湯エキス(6g)加紫根末(0.6g)に減
スクアレン(500mg)
血小板数:6.2万個
ステロイド:中止
継続中

〔結果・考察〕

血小板数はステロイド量を増やせば増加し、ステロイド量を減らせば減少することが漢方治療を始める前の治療からわかる。しかし漢方薬を服用後、血小板数が安定しステロイド量を減らしても血小板数が減りにくいことがわかる。最終的にはステロイド投与を中止しても血小板数は極端な減少はせず安定されている。よって、ステロイドにより血小板数を保ちながら漢方薬で体質改善を図ることが可能といえる。
西洋医学治療においてステロイドの投与による血小板数の調節でしか対処できなかった特発性血小板減少に対し、漢方薬によって血小板数が増加・安定されるだけでなく、ステロイドの離脱も可能であることが言える。