患者さんとの「かけ橋」です。漢方相談

漢方太陽堂の患者さんに、毎月お配りしています。
漢方治療を少しでも御理解して頂きたく、漢方太陽堂での実際の例を毎月御紹介致します。
患者さんにとって、少しでも御参考・励みになれば幸いです。
(注;東洋医学で言う臓腑経絡は、西洋医学の内臓とは異なります。)

【メニエール病】と漢方改善例

メニエール病で回転する様な眩暈がある女性

(昭和28年生、女性。No.0890)

回転する様なめまい(眩暈)がある女性から相談を受けた。数年同じ様な症状が続いており、疲れが溜まると朝方吐き気も同時にあった。
糸練功にて確認した所、回転性眩暈、嘔気に対して、胃寒の証を確認した。養生としては、お身体を冷すと更に症状が悪化してしまう為、苦味やアクのある食物を控えて頂き、お身体を暖かくして過ごされる様にして頂いた。
症状は改善されていくが、もう少しの所でお仕事の忙しさもあり飲み忘れが多くなり、数年が過ぎてしまった。1年間で8ヶ月分程しか飲まれていなかった。改善が進まず現状維持になって更にお時間が掛かってしまう事をお伝えした。
その後、経別脈診により症状の更に深い所に脾胃の水毒証を確認した為、処方を変更した。改善は更に進み、漢方薬の分量を順調に減らせていった。
症状が出る事が少なくなってくると少し漢方薬を飲むペースが落ちてしまっていた為、再度お伝えし、飲み忘れがある時はお時間がずれても1日分量を飲む様に伝えた。
飲み忘れは時々あった様だが、以前に比べ、きちっと飲まれる様になり状が全く出なくなっていた。

メニエール病により眩暈と吐き気でお困りの女性

(昭和28年生、女性。No.0890)

メニエール病により眩暈、吐き気でお困りの女性から相談を受けた。
糸練功で確認したところ、体内の冷えが原因となる胃寒の証を確認した。胃寒の証は、眩暈に加えて吐き気や頭痛が生じる特徴がある。
食養として冷たい飲み物や、身体を冷やす傾向のある苦味の強い食物、アクの強い物を控えて頂いた。

眩暈の症状は順調に改善し、標治の胃寒の証から本治の脾胃の水毒証に切り替えた。標治に対する漢方薬は、症状に対する効果は高いが体質改善の力が弱く、本治に対する漢方薬は、症状に対するよりも体質改善の効果が高い傾向にある。

このまま順調に改善していくと思われたが、眩暈症状が落ち着いたことにより患者さんが自己判断で漢方薬を中断したため、一時的に症状の悪化がみられた。
症状が出なくなったからといって体質改善を最後まで終える前に漢方薬を止めてしまうと、また病状が元に戻ってしまうことは、よく経験することである。
また漢方薬を毎日飲まずに、飲み忘れなどにより期間が空いてしまうと、改善効果が大きく落ち込んでしまい、徒に治療期間を長引かせてしまうことになる。
その後は、体質改善の必要性と毎日きちんと飲む事の大切さを理解して頂き、本治である脾胃の水毒証が10合になってから更に3ヵ月間続けて無事漢方薬を卒業された。

めまいと高血圧の男性-メニエール病

(大正13年生、男性。No.718)

以前より高血圧症で漢方薬を服用されていた患者さんである。
今回は突然の眩暈で御相談に来られた。

お聞きすると以前から時より眩暈があり、病院でメニエール氏病と診断を受けていたそうである。
糸練功で確認すると、2合にストレス性の証を確認。この方は高血圧で上焦を清熱する漢方薬を今まで服用されていた。

患者さんは、頭痛(慢性頭痛)も訴えられるのでストレス性の眩暈の漢方薬に頭痛に効果のある上焦へ引き上げる生薬を加え、更に血圧に効果のある生薬を加味し投薬した。
1つの漢方薬で血圧まで治せば患者さんの負担も少なくなるとの考えだった。よって上焦を清熱する漢方薬は一時中止した。

6ヵ月後、なかなか改善しない。浮遊感のような眩暈がよく有るそうである。糸練功の合数も3合であり、半年服用し1合改善しただけであった。
糸練功で再確認し、ストレス性の眩暈証の加味法から血圧の生薬を抜いて投薬した。同時に血圧の上焦を清熱する漢方薬も再び投薬した。
8ヵ月後、浮遊感は消失。糸練功の合数も5合に改善。
その後、順調に改善し、1年8ヵ月後、眩暈で長年苦しんだメニエール氏病の治療を終了した。

嘔吐と回転性眩暈(めまい)のメニエール病

(昭和28年生、女性。No.2276)

患者さんは離島から訪ねて来られたご婦人。
7~8年前から回転性の眩暈と嘔吐に悩まされている。朝方は疲労感と吐き気があり、夕方からはやる気が無くなると言われる。緊張すると震えがきて不安感が強くなる。酷い発作は年に1~2回との事。
糸練功で調べると心の臓陰証1.5合Ⅴがメニエール氏病の反応穴と重なる。自律神経の異常は、小腸経陽証2.5合Ⅱに確認。

メニエール氏病に胃寒の漢方薬をお湯割りで、自律神経の異常にB牡蠣製剤とF人参製剤を選薬投与。
服薬2週間後、数年遅れていた生理が来る。
1ヵ月半後、メニエール氏病は4.5合Ⅰ。自律神経は6.5合+(3)に順調に動き出す。まだ症状の改善は見られない。
2ヵ月半後、メニエール氏病5合+(3)。自律神経は7合+(2)。
3ヵ月半後、気分の良い日が多くなる。発作は起こっていない。メニエール氏病が8合+(1)。自律神経は9合±(1)。
6ヵ月後、気分も良く、吐き気や疲労感、震えなどの症状も消失。メニエール氏病が9合+(1)。自律神経は10合±(1)に改善。
11ヵ月後、メニエール氏病が10合±。自律神経は9.5合±(1)になる。更に1ヵ月分投薬し治療終了となる。

メニエール氏病は現代医学では完治の難しい疾患であるが、東洋医学では、まず完治できる疾患である。

最後に

東洋医学の治療は、西洋医学と異なり体質改善や原因療法の傾向が強いです。それだけに、効果の出る時間に個人差があります。「かけ橋」・「多くの漢方改善例」が、患者さん同士の希望に繋がることを願っています。