患者さんとの「かけ橋」です。漢方相談

漢方太陽堂の患者さんに、毎月お配りしています。
漢方治療を少しでも御理解して頂きたく、漢方太陽堂での実際の例を毎月御紹介致します。患者さんにとって、少しでも御参考・励みになれば幸いです。
(注;東洋医学で言う臓腑経絡は、西洋医学の内臓とは異なります。)

【B型肝炎】と漢方改善例

B型肝炎を患う手掌紅斑のあるご婦人

(昭和27年生女性No.241)

ある婦人からB型肝炎の相談を受けた。血液検査ではAST72・ALT84と高値を示していた。軽度の手掌紅斑もあった。手掌紅斑が出ているのは肝炎が進み肝硬変になりかけている状態と思われる。肝臓の炎症が続くと肝機能が低下し、女性ホルモンを解毒代謝する能力が落ちる。代謝し切れない女性ホルモンは血液中に残り、手掌紅斑として現れる。

肝臓の炎症をとり肝臓機能を回復させる漢方薬と、抗ウイルス作用が期待出来る保険食品をお飲み頂くこととした。

漢方薬を内服して2日目、手足掌が真っ赤に発赤。糸練功で確認したところ、瞑眩(めんけん)・好転反応と思われた。そのまま継続して服用頂いた。

漢方薬を服用して

1ヵ月後、GOT45・GPT57に下がってきた。

2ヵ月後、GOT52・GPT45

3ヵ月後、GOT44・GPT40

4ヵ月後、GOT42・GPT46と数値は緩やかに、確実に下がって行った。この時点で、肝臓の合数は9合+(1)まで改善されてきた。

漢方治療開始から2年後、ウイルスの反応、肝臓の反応とも10合±に到達。その時AST95・ALT115と急激な上昇がみられた。

経験上、肝炎ウイルスに対する抗体が出来る直前に、血液検査の数値が一時的に上昇する事があります。AST・ALTの急激な上昇は、肝炎ウイルスに対する抗体が出来てくる前頂と思われた。

それから半年後、再度、GOT・GPTが上昇した後、予想通り200あった肝炎ウイルス値は24まで下がってきた。抗体が0→14と出来始めた。

肝細胞の繊維化を防ぐ野葡萄製剤も加え、漢方治療を続けた。それから8ヵ月後、AST20・ALT22と、正常範囲内に納まってきた。抗体は70となり、抗体が出来るにつれてAST・ALTの低下もみられ最終的に正常範囲内を保つようになり治癒した。

一度、GOT・GPTは急激な上昇を示したが、やがて正常値の範囲内となった患者さんです。ポリメラーゼ値も低下し、B型肝炎ウイルスの増減が止まっている状態となった。肝炎ウイルスが減少し抗体も出現し完治した。他の実験では、抗原が消失するには3年程を要すると示されている。

肝炎は、肝硬変→肝癌へ進んで行く。肝炎・肝硬変の段階での漢方治療は有効なケースが非常に多いです。

最後に

東洋医学の治療は、西洋医学と異なり体質改善や原因療法の傾向が強いです。それだけに、効果の出る時間に個人差があります。「かけ橋」・「多くの漢方改善例」が、患者さん同士の希望に繋がることを願っています。