患者さんとの「かけ橋」です。漢方相談

漢方太陽堂の患者さんに、毎月お配りしています。
漢方治療を少しでも御理解して頂きたく、漢方太陽堂での実際の例を毎月御紹介致します。患者さんにとって、少しでも御参考・励みになれば幸いです。
(注;東洋医学で言う臓腑経絡は、西洋医学の内臓とは異なります。)

【ゲップ・胃弱】と漢方改善例

胃腸病-6~7年続くゲップ・胃弱・夏バテ

(昭和37年生、女性。No.1451)

ゲップでお困りの婦人から相談を受けた。
相談中も、10秒に1回ずつ「ゲボッ、ゲボッ」という音のするゲップが出ていた。その他、胃弱・少食・下痢・夏バテ・脊中側湾症などの症状を訴えられていた。
ゲップの状態に胃症状を整える漢方薬の体質を捉えた。この漢薬で下痢や食欲不振も改善すると思われた。体力をつける体質改善も併せて取り組む事とした。
漢方薬服用開始から3ヵ月後、下痢が無くなった。
しばらく経った時、妊娠希望の相談を受け、妊娠しやすい体質造りも並行する事とし妊娠もされた。本来のゲップの治療も合数改善が順調に進んだ。胃の調子は徐々に良くなりゲップも治まってきた。ゲップがすっかり良くなり、合数も10合±の状態が続いた。
安定した状態が3ヶ月続き、治療終了となった。
ゲップは、胃からの空気が食道へ逆流して生じる。同じように胃酸が逆流する逆流性食道炎にも胃症状を整える漢方薬が有効である事を、その後に発見し学会報告をした。
胃症状を整える漢方薬は、腹部全体を整える漢方薬に1味を加えた漢方薬である。腹部全体を整える漢方薬は脾胃の水毒(胃内停水)+心下の熱証に用いる。嘔吐や腹鳴、ガス、下痢などの症状に効果がある。加えた1味は気痞(気滞)を開く。1味を加える事で心下の痞え・胃腸内発酵を改善する。
「心下熱水の下降」は下痢を生じ腹部全体を整える漢方薬に1味を加え腸症状を整える漢方薬を。
「心下熱水の上行」は胸焼け・ゲップ・吐き気を生じ胃症状を整える漢方薬を用いる。

胃腸病-頻尿と胃痛

(昭和9年生、男性。No.1384)

2005年1月、70歳代前半の男性の相談を受けた。
毎日ではないが、空腹時や疲労が重なると胃痛が生じる。またトイレの回数が多く、就寝後は3回程トイレで目が覚めるとの事。
胃痛、頻尿に対してそれぞれ漢方薬をお出しした。
服用開始2ヶ月後、胃痛が少しずつ和らいできた。頻尿や尿の切れの悪さなどの自覚症状の改善は、まだみられなかった。
下半身の血行が悪くならないよう、毎日散歩を励んでおられた。
その後、動脈硬化による脳血流の低下がみられ、そちらに対しても漢方薬を服用する事となった。
服用開始半年後、胃痛の回数が激変し、1回の排尿量も増えてきた。脳血流も順調に改善し、改善と共にイライラが少なくなってきた。1年後のMRI検査も良好な状態となった。
症状は安定しているが、痩せ型で疲れやすい。体力がつく漢方薬も追加提案をし、初回ご相談時から2年半後に胃痛、脳卒中の原因となる脳動脈硬化の漢方薬が卒業となった。
その後、息継ぎが速い(息切れ)とのご相談を受け、呼吸促迫+体力増強+腎の老化防止に対して漢方治療を進めた。
投薬半年後には息切れも随分安定されてきた。ご相談は、毎回息子さんからだった。お父様のお身体を気遣われており、大切にされているお父様は幸せだなと心が温まった例である。

最後に

東洋医学の治療は、西洋医学と異なり体質改善や原因療法の傾向が強いです。それだけに、効果の出る時間に個人差があります。「かけ橋」・「多くの漢方改善例」が、患者さん同士の希望に繋がることを願っています。