患者さんとの「かけ橋」です。漢方相談

漢方太陽堂の患者さんに、毎月お配りしています。
漢方治療を少しでも御理解して頂きたく、漢方太陽堂での実際の例を毎月御紹介致します。患者さんにとって、少しでも御参考・励みになれば幸いです。
(注;東洋医学で言う臓腑経絡は、西洋医学の内臓とは異なります。)

【副鼻腔炎(蓄膿症)】と漢方改善例

副鼻腔炎(蓄膿症)前立腺肥大を伴う

(昭和10年生、男性。No.2787)

2006年春、初老の男性より相談を受けた。
小児より蓄膿症があり、肩凝りが酷い。年に1度、吐き気を伴う酷いめまい(眩暈)が起きる。血液検査で前立腺の腫瘍マーカーが少し高めとの事。前立腺の治療を優先し、その後に蓄膿症、肩凝り、眩暈などの治療を行う事を勧めた。
漢方薬を服用してから1ヶ月後、尿の出が良く前立腺の調子は良い。
鼻の症状がお辛そうで、蓄膿症の漢方薬もご一緒に併用する事になった。
それから半年が経ち、前立腺、鼻炎とも調子が良いとの事。
毎日、きちんと煎じ薬を飲む事が自慢で、一日も欠かした事がないと仰っていた。
更に半年後、疲れた時に眩暈が出そうになるが、酷くはならない。
順調にお過ごしだったが、冬になり風邪を引いた時に鼻詰まりが悪化したり、夜間の急な尿意をもよおす事もあった。また、手の平に蕁麻疹が出た時もあったが、漢方薬は2種類を飲むのが限度という事と食事面での養生をお伝えし、ご様子を見て頂いた。
きちんとご養生されたお蔭で、それぞれ酷くならずに済んだ。
漢方薬を飲み始めて2年と7ヶ月が経ち、糸練功の合数も10合±まで改善。
それから3ヶ月後、症状が全く無いことを確認し、漢方薬卒業となった。

アレルギー性鼻炎と蓄膿症の子供

(平成6年生、女性。No.2106)

アレルギー性鼻炎と蓄膿症の相談。くしゃみ、鼻水、鼻閉の症状。
糸練功でCheckすると、左下焦・膀胱1.5合Ⅱに太陽病+溢飮(水分が多くあふれてくる)証のアレルギー性鼻炎がある。アレルギー体質を改善する粉剤、抗ウイルス作用のあるH利水製剤が適応。左下焦・膀胱2.5合Ⅰに葛根湯をベースとした証の蓄膿症あり、免疫力をつけるF曲蔘製剤が適応。
H利水製剤1Hと蓄膿症に使う煎じ薬を投与。
15日目、アレルギー性鼻炎は2.5合Ⅰ、蓄膿症は3合Ⅰに改善。
45日目、アレルギー性鼻炎7合+(1)に改善。蓄膿症も6.5合+(3)に改善。
4ヶ月目、アレルギー性鼻炎8合+(1)、蓄膿症8.5合±(1)に改善。症状が殆ど消失する。
5ヶ月目、アレルギー性鼻炎9合±(1)、蓄膿症10合±(1)。アレルギー性鼻炎、蓄膿症共症状は全て消失する。
完治を目指し現在も服用中である。

蓄膿症の男児

(昭和62年生、男性。No.2018)

蓄膿症の相談。鼻閉があり青い鼻汁が出ると言う。
糸練功でCheckすると、左上焦2.5合Ⅱに、小腸の経絡病として膀胱経の葛根湯をベースとした証が見られる。F曲蔘製剤とBミネラル製剤の同時服用が適応。
また左下焦・膀胱9合+(1)に、小青竜湯加石膏証のアレルギー性鼻炎がある。これも免疫力をつけるF曲蔘製剤とBミネラル製剤の同時服用が適応となる。
F曲蔘製剤とBミネラル製剤を各1方づつ同時服用で投与する。
15日目、アレルギー性鼻炎は10合±(1)、蓄膿症は4合Ⅰに改善。
1ヶ月半後、蓄膿症は8合+(3)に改善。青鼻汁が減少しお母様に大変喜ばれる。
3ヶ月半後、蓄膿症、アレルギー性鼻炎共に10合±となる。
5ヵ月半後、蓄膿症は10合±で順調、ほぼ治癒となる。しかしアレルギー性鼻炎が突然酷くなる。季節性のものか?2合に悪化。蓄膿症は治癒したと考え、アレルギー性鼻炎の治療だけとする。薬方はH利水製剤2包とする。
6ヵ月後、アレルギー性鼻炎は1ヶ月の服用で10合±となり、症状消失。
その後3ヶ月、H利水製剤を服用し、治療終了となる。現在までアレルギー性鼻炎も蓄膿症も再発していない。

最後に

東洋医学の治療は、西洋医学と異なり体質改善や原因療法の傾向が強いです。それだけに、効果の出る時間に個人差があります。「かけ橋」・「多くの漢方改善例」が、患者さん同士の希望に繋がることを願っています。